時計の修理受付例/5.11 H.R.Tガラス交換依頼
5.11 H.R.Tガラス交換の依頼ですが、現在のクリスタルガラスをサファイアガラスへ交換依頼です。聞いたこともない時計ですから、ガラス交換の依頼を受けても出来るかどうか回答のしようがありません。普通の時計と比べれば分かりますが、かなり大きな腕時計。
しかもダイバー風。こういう腕時計って如何にも防水性能が高い様に書いてあるものが多いのです。でも裏蓋はネジ留めですが、こういったダイバー風は。まず電池交換さえ受付して貰いにくくなります。
こちら裏蓋の裏側。これがムーブメント。
このムーブメントを見たら私でも電池交換さえ躊躇いますね・・・。ましてムーブメントの取り出しなどは。
さてガラス交換ですが、先ずはムーブメントは取り出さないとガラス交換は出来ません。取り出せてもキチンと戻せる作りなのか?それはやってみないとわかりません。最悪はジャンクにしてしまうリスクを背負った作業になります。腕時計メーカーの物なら、それは回避できますが。以外のメーカーの物は壊れても部品の供給がされないからです。
またこのガラス、直径が大きい。サファイアガラスの既製の丸形は直径32mmくらいまでですが。こういったダイバーサイズはありませんから別作になります。
何故、大きいサイズは無いのか?ですが、普通は大きいものはダイバーです。そうなると既製の1mmほどの厚みのガラスで耐圧が足りません。また防水試験も必要です。
別作した場合の費用は20.000円くらいですか、カーブしたものなら30.000円くらい掛かるでしょう。しかもガラス交換をしたらダイバー風でも防水性能の保証は無くなります。よって説明して了解を得たとしても職人さんが嫌う修理になります。
最近、腕時計には興味も無かった人がCooの腕時計を見てサファイアガラスの事を知ってか、クリスタルをサファイアに交換依頼が多くあります。発想は「キズが付くガラスから→キズが付かない物に交換」と思いますが。
実際問題として、26年この仕事やっていますが実店舗で「クリスタル→サファイアへの交換」依頼は受けた事がありません。
そういう依頼があるのがネットの特徴でもあるとは思います。しかし実際、交換となると”防水性能・ムーブメント取り出しリスク”色んな問題が生じて、簡単ではない事をご理解ください。結果、この依頼はキャンセルになりましたが。
あまりにも依頼が多く、かといって「修理は不可」と簡単に返信されてもお客様には意味が分かりません。かといってお一人のために”この記事全文の返信をしていたら仕事に支障がでます。よってサイト記事とさせて頂きました。m(..)m