時計の修理受付例/シーガル6030-7010

シーガル6030-7010

何でも20年以上前の腕時計でガラ箱(といっても個人的な)の中の腕時計で痛みが一番激しいものを送りますので、どこまで綺麗に出来るか宜しくお願いいたします。予算は15.000円までならOK!

と、言うことで届きました。こういった依頼はつい力が入りますね。全体的にはかなりの傷があります。ベルトも小キズが多いです。ベルトのオリジナルはもうメーカーに在庫がありません。ケースも同じですが、ケースまで交換すれば15.000円の予算では収まりませんから磨くしか無いでしょう。基本的に古いですから「交換部品は無し」です。ガラスとケースの接点が錆びています。

文字盤も湿気が入って表面が浮き上がってます。ベゼルとケースの隙間も汚れています。

シーガル6030-7010裏蓋シーガル6030-7010キャリバー

裏蓋もくすんだ状態。これがキャリバーですね。

シーガル6030-7010ムーブメント

裏蓋を開けても、まったくのツヤ無し。電池すら入っていません。裏蓋も汚れていますが、この爪にダメージがありませんから充分使用可能。後で解説しますがこの裏蓋は特殊ですから代用品はありません。よってこの爪が折れたりしている場合は、その時点で修理不可です。変形程度なら修正は可能!

シーガル6030-7010竜頭裏側

先ずは竜頭を抜きます。これはもう洗浄機で洗います。これもオリジナルはありません。

シーガル6030-7010竜頭パイプシーガル6030-7010文字盤サイド

竜頭パイプのチェック。文字盤がこういった汚れ方をするのは、ガラスの接着剤が硬化してガラス面から湿気が入った証拠ですね。

シーガル6030-7010文字盤

これが取り出した文字盤&ムーブメント。表面のフィルムが浮き上がってます。これはもう交換するにも部品がありません。でも文字盤がこの状態のままでは、直った感じがしません。15.000円の予算がありますから「文字盤の書き換え」ですね。

シーガル6030-7010

この写真でも裏蓋側よりも表面から湿気が入った事が良く分かります。竜頭パイプを掃除します。OHもしますからケース全体を特殊洗浄機で洗いますから簡単に掃除します。ある程度は手で落としておかないと洗浄機でも綺麗にならないですし、洗浄機側のメンテナンスが大変になる訳です。

シーガル6030-7010ラグ部

ラグ部を磨いて。ベゼルとケースの隙間の汚れを鋭利な工具で削ります。

シーガル6030-7010竜頭パイプ

こういった所も掃除。

シーガル6030-7010

この程度まで掃除すれば後は洗浄機の力に任せましょう。ええ〜いとベゼルも外してしまいます。これでケースのみになりました。

シーガル6030-7010ガラス

これがベゼル&ガラス。ガラスも小キズがありますから交換します。ベゼルはプラスチックパッキンですが綺麗な状態です。いかにガラスとベゼルの隙間から湿気が入ったか物語っていますね。

これでケースのみになりました。裏側はツヤありですから後でバフ掛けしましょう。

表側はヘアライン仕上げしました。ベゼルの裏側も。

掃除します。こういった感じで文字盤&ムーブメントが収まる訳です。

ベルトもヘアライン仕上げします。この写真で「12時側か6時側」どちらのベルトか分かりますか?

この状態から磨いて行きます。ハイ、ヘアーライン仕上げ。

洗浄機で洗います。写真ではイマイチですが、これでも磨きました。

ムーブメントはOHして、裏蓋もバフ掛け完了。角度を変えればもっと綺麗ですね。

文字盤の書き換えが戻って来ましたので取り付けて、その後で針を3本取り付けて完了。一度、表面の塗装を落として塗り直す訳ですから写真の様に「キャリバーが消えます」。

この文字盤書き直しですが「5.000円+脱着料2.000円」になります。キャリバーまで再現する書き直しは「10.000円+脱着料2.000円」になります。

OHのついでなら分解のついでですから「脱着料」は掛かりません。

この文字盤の書き換えは作業する方は、インデックス(数字の棒)を全部取り外して塗り直し。そしてまたインデックスを取り付ける作業をする訳です。

これが書き直された「SEIKOロゴ」右ががオリジナル文字盤のロゴです。若干荒い事が分かります。それに色が濃いくなりました。色合いや表面の感じまでまったくオリジナルと同じにするのは無理ですからご了承宜しくお願いいたします。

5.000円の書き換えですが、ここまで引けばオリジナルと遜色はありませんね。5.000円の文字盤書き換えは分かりやすく言えば「スタンプ」です。よって荒くなる訳ですが10.000円を超える書き換えは簡単に言えば「CG(コンピューターグラフィック)」って違いですか。

またインデックスもメーカーロゴもアップライトな物(取り外し可能)であれば取り外して、塗り直すのみですが5.000円の書き換えでも結構オリジナルに近くなる訳です。

OHの終わったムーブメントをケースに戻します。流石にかなりの湿気で表面がダメージを受けていましたから、特殊洗浄機で洗ってもピッカピカ。という訳にはいきません。

でも角度を変えてみれば、汚れは綺麗に落ちているのが分かります。もちろんこの写真で見えるネジを全部外してバラバラに分解して特殊洗浄機で洗う訳で、この状態のまま洗う訳ではありません。だから「分解掃除」って言いますねd(^_^)反対側からの写真ですね。これだけのムーブメントでも当時の定価では、確か3万円代だった訳ですから昔のムーブメントは丁寧だった事が良く分かります。2006年現在の3万円代のムーブメントでは写真の様に「石(赤い○)が見えるムーブメントなんて無いですからねぇ。

まだ腕時計は”修理をして使うもの”って時代のムーブメントですね。

竜頭とベゼルは元の物を使用しました。

ガラスも交換して、「OH7.000円+文字盤書き換え5.000円+ガラス3.000円」ですね。ガラスのみなら4.000円ですがOHのついでですから3.000円になります。

しめてご予算通りの「15.000円」で完了です。

後で解説としましたこの裏蓋の開閉ですが写真は開いた状態です。裏蓋に「竜頭の絵とSET」と書いてあります。この位置に裏蓋をセットして。この位置まで30度ほど捻るのみ。写真の状態で閉まっています。

このスクリューバックの引っかける穴の位置が不自然な意味が、お解り頂けましたでしょうか?この竜頭はオリジナルで無い物で宜しければOHのついでなら1.000円〜2.000円の追加で交換出来ます。

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