時計の修理受付例/NIXON SIMPLIFY THE 51-30 プッシュボタン

2011年6月30日お預かりのNIXON SIMPLIFY THE 51-30 プッシュボタン修理です。

何でもプッシュボタンが外れる様になったと???外れる様にって今までは?って感じですが。

プッシュボタンというのは先端の溝が切ってある所にリングをはめ込んでパイプから抜けない構造ですが外れる物では無い。よほど錆びていれば別ですが時計の外観もプッシュボタンも錆びていない。

ケース内部から取り出しましたが、これが先端の溝にカチッ!入ってストッパーの役目をします。これ外すのは難しいので勝手に外れるということが考えられないのです。

これがムーブメントですが。

プッシュボタンの先にはスペーサーに埋め込まれたプッシュボタンがあって、これを押すことでムーブメント側面のレバー押す構造、もちろん押したら戻る必用があるのでバネも装着されておりますが。

プッシュボタンのパイプを内側からチェックしますが異常無し。プッシュボタン側の内側も異常無し。良くあるのはプッシュボタンの内側に汚れが溜まって押し込めなくなるパターン。

これが取り出した文字盤&ムーブメント。

ムーブメント取り出し。そしてプッシュボタンを押し込んでみますが・・先端の溝の部分がケースから出て居ない。(つまり溝の部分が見えない)。差し込む位置があるのかと観てもそういう構造にはなっていない。念の為に角度を変えて差し込んでも同じ。

どういう事かと言えば「製造段階でのミス」。プッシュボタンのシャフト部分が短いのです。流れ作業的な組み立て段階で気がついているハズですが・・・。それかストッパーリングを入れる時に溝が出て居ないので溝がない箇所に押し込んだ。「なんかこの時計は堅かったな・・・」って程度でしょうか。溝にはまっていないリングは引けば外れます。ただプッシュボタンは「引く」という操作がないですから購入して1年も気がつかなかった。そして「抜ける様になってきた」となる訳です。(元々、製造ミスではまっていない事が原因)

問題はさてどうするか?セイコーとかなら「プッシュボタンの取り寄せ」で対応ですが専用パーツの管理はされていないでしょうからメーカーに期待は出来ない。プッシュボタンを溶接業者さんに送ってシャフトをハズして長くして貰う。(それで10.000円掛けるかが問題)

そこで私のお得意技「接着剤補強」、プッシュボタンのパイプに練り合わせの接着剤を塗って、プッシュボタン挿入。裏側からも接着剤補強して防水機能はOKでしょう。

当然、押すことも引くことも出来ません。裏蓋を持ったら裏蓋裏側の共鳴板のような板が外れた??。これも外れる部品では無いので全体的に適当な作りの腕時計ですか。

先程の接着剤の残りで針付け。しかし「この時計、アラーム機能は無いぞ?」

ムーブメントを戻して。

ベルトを取り付け修理完了です。そもそも、このプッシュボタンを押すと「小針」が「Hight・Low」を指して潮の満ち引きを示すそうな。この機能を必用として、この時計を購入した方は居るのか?使わない機能なら接着剤で固定するのが手間が掛からず安価。電池交換メンテナンスついでならサービスの作業です。

今の時代、腕時計を買うときにプッシュボタンのチェックまでする方は居ないでしょうから。海外生産ぽい時計を購入のさいは、バンドやプッシュボタン、竜頭も引いたりしてみないと。1年も経ってからでは何も言いようが無いですから。

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