時計の修理受付例/SEIKO DIVER 2625-0170
2012年11月6日お預かりのSEIKO DIVER 2625-0170電池交換メンテナンスです。
交換用のバンドも同梱で到着。もちろん純正はウレタンですが既製メタルが取り付け可能かどうか。
裏蓋はスクリューバックで。
裏蓋記載。 交換バンドは「弓環タイプ」ですが簡単にはつきません。
お客様からすれば、こうやって合わせてみて幅がピッタシ。あとはバネ棒入れのコツ次第と思っておられるかと。
ところがそのままでは、弓環のバネ棒が通るパイプとバネ棒の先端が収まる穴。これが3ミリはずれている。
まして穴の位置は奥となると、弓環を沈み込ませる必用が。私なら絶対受けない仕事です。弓環の奥行きを半分以上削ってカーブは残す訳で器用さと根気が要る作業。
裏蓋の裏側もチェックして。
これがムーブメントで。
ムーブメント拡大。
竜頭の裏側は洗浄でここまでは綺麗に。
竜頭パイプも、ここまでは綺麗になって。
これが取り出した文字盤&ムーブメント。
ケースの洗浄は終わってツヤが出ましたね。
綺麗になったケースにムーブメントを戻して電池格納部をチェックします。
外したパーツを戻していき電池を入れて動作確認。パッキンは交換してシリコン塗布をしてケースに戻します。
全体的にツヤが出て綺麗になりました。でも翌日、時間が遅れており分解修理も必用かと。と丁度良い。この弓環加工、これだけで職人さんに頼んだら怒るかも?と思っていたところ。分解修理一緒ならやってくれるかも?結局、職人さんの所に持ち込んだ時には完全に止まっていて分解修理歴無し、という事で時計自体は良い機会。
問題はメタルバンドへの交換。
職人さん、この角度から見て「マジ?これやらすの?」って感じで。
「私なら断りますが・・やって頂けます?」と言うと。「置いとけ」と一言。
出来ましたね・・・・弓環の奥行き半分以下にまで削られて。手間が分かる者としては見ただけで汗が出る。
「何時間、掛かりました?」ときくと3時間掛かったと。わたしにはその根気は無い。
職人さんも、「もう、こうこんな仕事は勘弁やで」。という事で、この写真を見たからといって、弓環加工のご依頼はご遠慮下さい。
職人さんは分解修理で代金貰ったから。と言って頂きましたが別途「3.000円」渡しておきました。たしかにここまでやると「ベルト交換の付随作業」の域は超えて「金属加工」の領域ですか。かといって金属加工に出してもバネ棒入れの事が分からないと加工も出来ないでしょうし。